あのおぞましい匂いのする物をもぞもぞ動く子供に慎重に注入するのは難しいことです。
(ジーン・ウェブスター『続あしながおじさん』新潮社 畔柳和代訳 より)
こんにちは。もぞもぞしてますか?野村です。
今回は、読みながらもぞもぞしたというお話です。
以前書いた『老人と海』の記事と併せてどぞ。
もっと肝油について知りたい!
僕にとって肝油は「校内で堂々と食べられるおやつ」だったのですよ。
だけどそれだけじゃない。食べずに蓄えておくことで、子供たちの間で通貨に似た役割を担うことさえあった。
肝油が嫌いな児童は皆無。のはず。でもそれは明治44年以降のことらしい。
製薬会社の努力により固形化されるより以前、さらにいえば糖分を添加される以前の肝油は、さぞ味気ない液体だったろう。
その頃の肝油について知りたい!などと考えながら調べたところ、『続あしながおじさん』に肝油が登場することを知ったのです。
てなわけで『あしながおじさん』と『続あしながおじさん』を合わせて購入。
どちらも引き込まれました。名作の名に相応しい。
ジーン・ウェブスター『続あしながおじさん』
『続あしながおじさん』は、孤児院を切り盛りする新米女性経営者のお話。
その中のエピソードで、職員の一人が孤児院中の肝油の瓶をすべて隠してしまうという事件が起こるのですよ。
隠した理由はというと、なんだかよくわからない。職員の弁解は感情的で取るに足らない主張に終始してるから。
僕が思うに、こんな理由だったんじゃないだろか?
・嫌がる子供に肝油を飲ませることが忍びない。
・嫌がる子供たちの口へ肝油を流し込むのに疲れた。
きっとノイローゼにおちいるほどの大仕事だったに違いない。
たぶん、子供たちを1列に並ばせていたのだと想像できる。
そして恐らく、あごを上に向けさせ、大きく口を開けさせてたのではなかろうか?待ってる子もたまったもんじゃない。
んで、自分の番になって、肝油に満たされたスプーンが口元に近づく。匂いが立ち上る。
僕ならここで固く目をつぶると思う。腰のあたりがむず痒くなったりしそう。
そして口内に油が注がれるわけだ。たまらん。
欲を言えば本編の中でこういった描写が欲しかった。まあ、勝手に想像できたのだからいいか。
いずれ本編2冊の感想も書くと思うけど、今回はこれにて。