ホフマン「砂男」に登場する人形が無口な理由を考えてみた

こんにちは。ハッピーな結末は好きですか?野村です。

今回紹介する作品は気の毒な結末。
とはいえ、短いながらも緻密な構成に痺れます。
謎を謎のままにしておくさじ加減もGood。

精巧すぎる機械人形

とういうわけで、ドイツの作家・ホフマンが1817年に発表した短編小説「砂男」を紹介します。
砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)』に収録されています。

どうやらサイコ・ホラーの元祖とのこと。

サイコ・ホラーというのは、狂気におちいった人間を描いたサスペンス。だと思ってる。
基本的に(幽霊のような)人知を超えた存在や現象は描かれない。はず。
卓越すぎる科学技術はサイコ・ホラー的にOKなのかな?どうなんだろ?

というのは、この作品、精巧な機械人形が登場するのですよ。
人形であることは誰にも見破れない。
ピアノを弾いたり、歌ったり、ダンスも踊る。そして美人。
ただ、言葉はうまく操れない。

一応、あらかじめプログラムされている言葉は話せる模様。
とはいえ、本編の中では「おやすみなさい、いとしいひと!」の一言だけ。
それ以外は「ああ、ああ!」しか喋ってない。

この人形には心がある

不思議に思うことがある。
それは、この人形が、吐息とも溜息とも相槌ともとれる音声を発する機能を備えていること。
人形の製作者の意図は何だろう?
ただ沈黙しているよりマシだったからかな?

てなことを思い巡らしているうち、ひとつの仮説が浮かびました。
それは「この人形は、心を持っている」というもの。

人形は自分の言葉を話そうとしている。
しかし、思い描いた言葉を発する機能は備えていない。製作者の想定を超えているから。
なので、心のままに喋ろうとしても、どうしても「ああ、ああ!」になってしまう。

この仮設を念頭に再読してみたところ、違った意味で怖くなってしまった。
その一方で「人形とのハッピーエンドもありえたのかな?」なんてことも想像したりしましたよ。

てなわけで今回はこれにて。

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枕は高いほうがいい。高いほうが本を読みやすいのですよ。なので広めのタオルケットを何重にも折りたたんでその上に枕を載せてその上に頭を載せてたりする。