北ではなく、上へ
(E・A・アボット『フラットランド』竹内薫・訳 講談社選書メチエ より)
こんにちは。方向感覚は健全ですか?野村です。
今回の本を読んでる最中、ペンギン・カフェ・オーケストラの「TELEPHON AND BUBBER BAND」という曲が頭の中で何度も流れていました。
電子音が弦楽器と溶け合う瞬間、音は立体的に響きます。自分にはそう聞こえる。
この場合の「立体的」ってどう説明すればいいのだろう?
いわゆる「立体音響」とやらとは全く違うのですよ。
次元をめぐる対話の物語
というわけで、E・A・アボットが1884年に発表した小説『フラットランド たくさんの次元のものがたり (講談社選書メチエ)』を読みました。
「空間」や「次元」の理解をめぐる対話の物語。
主人公は正方形。フラットランド(2次元の世界)の住人であり、職業は数学者。
彼は夢の中でラインランド(1次元の世界)の王様と出会い、2次元空間の性質について説明するけど理解されずに終わる。
そんな主人公のもとにスペースランド(3次元の世界)からの使者が現れ、3次元からフラットランドを眺めることになる。
言葉にできないコトを説明する厄介さを楽しむにはもってこいの1冊です。
それは時間ではない
4次元空間を思い描く時、4つ目の方向として「時間」を想定することに僕は違和感を覚えるのですよ。
きっと2次元の住人も「3つ目の方向」を思い描く時、「時間」を想定するのだろう。
でも、自分たちは「3つ目の方向」を知っている。それは時間ではない。
とはいえ「時間でなければ何だ?」という問いに「方向は方向だよ」と答えるのは芸がない。
なので「音楽を聴くと引き込まれる『あの方向』だよ」と答えるのがいいんじゃないだろか?
てなわけで今回はこれにて。