宮沢賢治『どんぐりと山猫』を星座の神話にしよう

こんにちは。不平を漏らしてますか?野村です。

僕は、あまり漏らしてないかも。それもよくない。今後はTwitterで漏らすとしましょう。

ロダーリ「猫とともに去りぬ」

イタリアの児童文学作家、ジャンニ・ロダーリの短編集『猫とともに去りぬ』を図書館で借りました。

この作品集の表題作「猫とともに去りぬ」の中で、猫たちが激しく憤慨する場面があるのです。
「猫」という名前の星座や星がないことがその理由。
このことから猫の判事は、人間たちに対し、こう判決を下します。
「天文学者に災いを!」

物騒な話です。ここはひとつ、人間の弁護にまわってみたくなる。
なので、とりあえず「ねこ座」をWikipediaで探してみることにしました。

宮沢賢治があるじゃないか!

「ねこ座」は1799年に考案されたけど、現在の88星座には登録されなかったとのこと。

理由が気になる。
「やまねこ座」があるからかな?
つーか、やまねこ座があるんだから、それで納得してくれないものだろうか?

ちなみに、やまねこ座は1687年に設定された新しい星座とのこと。
これにまつわる神話はない模様。寂しい。

で、思い出したのが宮沢賢治『どんぐりと山猫』。
この作品をやまねこ座の神話にしてみたらどうだろう?
一応、読み返してみたのだけど、絶対海外でも通用しますよ。

ワールドワイドなお説教

ただ、気になるのは、一郎が言ったこのセリフ。

「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」
(宮沢賢治『どんぐりと山猫』より)

ここでいう「お説教」というのは仏教の法話のことだと思う。
特殊な価値観なだけに、海外の読者に理解してもらえるか心配になる。
西洋でもこんな逆説的な説法があるのだろか?と、考えること数十秒。あった。

心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。
(新約聖書「マタイによる福音書」新共同訳 より)

作品が一気にワールドワイドになった。

あくまで「山猫でも構わない」という前提の上だけど、このあたりで「猫とともに去りぬ」の猫たちに手を打ってもらえないだろうか?

まだ問題があるかも?

ただ、もしこの提案が受け入れられたとしても、ネコ科の星座は「やまねこ」と「しし」の2つ。
イヌ科の星座は「おおいぬ」「こいぬ」「おおかみ」「こぎつね」の4つもある。
ここから不平を漏らす猫もいそうだな。

宮沢賢治『どんぐりと山猫』

最後に、お奨めの『どんぐりと山猫』の絵本を紹介します。

マンガ家・畑中純が全ページ木版画で制作した入魂&圧巻の一冊。
本文もすべて彫刻刀で彫り上げてます。宮沢賢治への愛がほとばしっている!

てなわけで、今回はこれにて。

追記

「猫」という名前の星ではないけど、猫の名前をつけた小惑星ならあるようです。
小惑星はあなどれない!

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枕は高いほうがいい。高いほうが本を読みやすいのですよ。なので広めのタオルケットを何重にも折りたたんでその上に枕を載せてその上に頭を載せてたりする。