後藤明『世界神話学入門』でケルトの浦島伝説の存在を知った

はじめに

こんにちは、時間に正確ですか?野村です。

一人暮らしをはじめてから時間にルーズになりつつあります。
しかもこの時期はコタツがある。

「コタツの中の1時間は世間の何時間に当たるんだろ?」

なんてことを考えたりしますよね?僕だけ?

神話は2つに分けられる

今回紹介するのは、後藤明『世界神話学入門 (講談社現代新書)』。

マイケル・ヴィツェルという学者の説に自説を交えて紹介した新書です。

どんな学説かといえば

  • 神話は2つのグループに分類できる
  • その分布は、最新の遺伝学/考古学が捉えている人類拡散の足跡と一致する

というようなもの。

その2つのグループの違いを挙げるとこんな感じ。

ゴンドワナ型神話群

人類が「物語」を編み出す以前に存在していた「思考」。

【分布】アフリカ中南部、インドの非アーリア地帯、オーストラリア など
【ストーリー性】弱い
【宇宙の創造】語られない
【個々のエピソード間の関連】弱い

ローラシア型神話群

人類の最古の物語。しばしば権力の正当性の説明に利用される。

【分布】ヨーロッパ、北アフリカ〜中近東、ペルシャ〜古代インド文明圏、中国 など
【ストーリー性】強い
【宇宙の創造】無からの創造
【個々のエピソード間の関連】強い

ケルトの浦島伝承

日本の神話は「ローラシア型」に属します。でも「ゴンドワナ型」の痕跡もある。
考えてみれば、神話ってパッチワークで成立してる気がする。
完全なローラシア型神話ってあるのかな?

ともかくこの分類法を導入すれば、構成する要素単位に神話を分析しやすそうです。

あと本書では、それはもう次から次へと多くの神話を引用されるのですよ。
最初は「お腹いっぱいになりそう」と思ったけど、リズムに慣れてくるとハマります。

挙げられた中で「浦島太郎」と同じモチーフを持つケルトの伝承があると知りました。
異世界で享楽的な年月を過ごし、帰ってみれば数百年経過していたというもの。
『ブランの航海』というお話だそうです。

あまりに似ているので、ルーツが同じとしか思えません。

ネットで調べてみたら、似た話で「常若の国のアシーン」というケルト伝承もあるとのこと。
こっちの異世界は地続き。海の果てじゃない。
いろんなバージョンがありそうですね。

しかし「時間の進み方が違う」という着眼点は、ある意味SF。
オリジナルの作者の超人的な先見性に敬意を表さずにはいられないな。

てなわけで、今回はこれにて。

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枕は高いほうがいい。高いほうが本を読みやすいのですよ。なので広めのタオルケットを何重にも折りたたんでその上に枕を載せてその上に頭を載せてたりする。