浜本隆志『シンデレラの謎』で6万年の思いを馳せる

こんにちは。想像のナナメ上をいってますか?野村です。

思えば「奇をてらおう」という気を起こさなくなってから結構経ったな。
たぶんいいことだ。

中国発祥だと思ってた

今回は、浜本隆志『シンデレラの謎 なぜ時代を超えて世界中に拡がったのか』を紹介します。

中国にシンデレラに似た民話があることはご存知ですか?
僕は知ってました。『南方熊楠随筆集』(ちくま学芸文庫)という本に書いてあったのですよ。
9世紀ごろの中国の文献に載っていたとのこと。
なにぶん熊楠の言葉が難解で十分に理解できなかったのだけど、一応「シンデレラ物語は中国から西洋に伝わったのかも?」って印象を受けたもんです。

なので、中国発祥説を期待して『シンデレラの謎』を手に取ったのだけど、読んでみると全然違う。
いわばアフリカ起源説。
さらにいえば、「シンデレラ物語の原型」と「ホモ・サピエンスの世界拡散」との関係を見出そうとしてる!
大胆極まりない、予想の遥かナナメ上をいくテーマ。のけぞりました。

物語は大陸を渡る

本書を読めば、シンデレラ物語が、古代エジプト、西南アジア、インド、東アジアを巡り、日本にも「ぬか福と米福」という民話として上陸していたことがわかります。
あと、あらすじの掲載はないけど、南北アメリカ大陸にも渡っているとのこと。

たしかに人類拡散のルートと似ている。
だからといって「この物語とともに人類が拡散したと考えるのは乱暴では?」と最初は思ったけど、読み終えて気が変わりました。

たとえば、シンデレラ物語を形成する材料はこんな感じ。
「継母からの試練」→「援助者の超能力」→「非日常としての宴」→「花嫁試験(靴)」→「身分を超えた結婚」
まだ人類がアフリカに留まっていた期間、すでにこれらを物語として紡いでいたと考える方が断然愉快!

やっぱ、6万年前のシンデレラ・ストーリーを想像する方が楽しいじゃないですか。

てなわけで今回はこれにて。

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枕は高いほうがいい。高いほうが本を読みやすいのですよ。なので広めのタオルケットを何重にも折りたたんでその上に枕を載せてその上に頭を載せてたりする。